勉強法 冷戦でルーズベルトが参加したヤルタ会談とは?|政治経済勉強法

冷戦でルーズベルトが参加したヤルタ会談とは?|政治経済勉強法

冷戦の始まり

 アメリカとソビエトを中心に、世界が2つの陣営に分かれて対立していた冷戦時代。それはどのように始まり、展開し、そして終わったのか。いろいろな側面から考えてみましょう。

 冷戦の始まりは、第二次世界大戦が終了するより前の、1945年2月、クリミア半島のヤルタで開催されたヤルタ会談であるとされています。参加者は、アメリカからフランクリン・ルーズベルト、イギリスからはチャーチル、ソビエト連邦からはスターリン、でした。このとき決められた内容を、そもそもこの会談の背景とともに押さえていきましょう。

 

背景:第二次世界大戦の終わりを見越した戦後構想

 1945年に入ると、第二次世界大戦の一方の当事者であるドイツと日本の敗勢は明らかで、連合国側の勝利が確実な情勢になっていました。とすれば関心があるのは、戦争のあとのこと。どこの領土をもらうかとか、どこの政権を自分のシンパにして勢力圏に組み込むかとか、そういったことを巡って連合国内で対立が起こるわけです。

 解決せずにおくと、戦争で軍を動員している最中ですからそのまままた新たな戦争になりかねません。ですから、ここで戦後をどうするかを巡っての話し合いを行ったのです。会談で決まったことは大きく3つ、東欧政策、対日政策、常任理事国拒否権、です。

 

東欧政策:ポーランドやバルト3国をどうするか

 1945年にはドイツに占領されたポーランドもいよいよソビエト連邦の手によって解放というところでしたが、戦後を巡っての問題が既に生じていました。当時、ロンドンにはポーランド亡命政府が、そして先に解放された東部ポーランドにはポーランド共産党がおり、それぞれ、自分が正統な政権であると主張していました。

 では、どちらが本当に正統なのか?これは、亡命政府を支援するイギリスと、共産党を支援するソビエト連邦との争いでもありました。つまり、ポーランドをどちらの勢力圏にするのか、ということです。

 加えて、さらにその東のバルト3国をどうするのかも話し合われました。ちなみにバルト3国は、北からエストニア、ラトビア、リトアニア、ですね。日本の杉原千畝が活動していたのはリトアニアです。

 結果は、概ねソビエト連邦有利となりました。バルト3国はソビエト連邦が併合。ポーランドについては国民の選挙で新たな政権を決めるという中間的な解決になりました。とはいえポーランドに展開しているのはソビエト連邦の赤軍です。事実上、共産党による支配を認めたようなものでした。

 

対日政策:北方領土問題の起源

 日本に関しては秘密協定が結ばれました。ソビエト連邦が日ソ中立条約を破棄して対日参戦すること、そして日本の領土のいくらかを割譲することが決められました。このとき割譲することに決められたのはサハリン南部および千島列島でした。これが、現在まで続く北方領土問題の端緒となります。

 

国際連合:拒否権を常任理事国に

 国際連合ではアメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦、中華民国を常任理事国とすることが決まっていましたが、これらの国々に拒否権を与えることに決めました。これは、国際連盟が全会一致を行動原則としたために結局効果的な行動ができなかったことを反省したために決められました。世界の運営のためには、大国と小国でおのずから責任の重さが違うということですね。もちろん、既得権益の保護と言い換えてもいいわけですけれども。

 

意義:冷戦のはじまり

 では、ヤルタ会談はどのような意義があったのか?やはり大きいのは、戦後の東西対立の始まりだということです。ポーランド問題で既に明らかですが、占領下から解放した国が、戦後にどの国の子分になるのか、ということで対立が見えていたわけですね。特にヨーロッパではイギリスとソビエト連邦の間で対立がありました。結果としては東欧をソビエト連邦が獲得していくようになりました。この形が、冷戦構造としてその後発展していくのです。

 

 

例題

 次のうち、ヤルタ会談に参加していないのは誰?

1.フランクリン・ルーズベルト

2.チャーチル

3.トルーマン

4.スターリン

 

解答解説

 正解は、3のトルーマンですね。このヤルタ会談のすぐあとにルーズベルトがなくなり、トルーマンがアメリカの大統領になります。ギリギリの時期なので、ご注意を。

 

 

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【シリーズ冷戦】 (1)ヤルタ会談

【シリーズ冷戦】 (2)ドイツ分割

【シリーズ冷戦】 (3)トルーマン・ドクトリン

【シリーズ冷戦】 (4)マーシャル・プラン

【シリーズ冷戦】 (5)コメコン

【シリーズ冷戦】 (6)ワルシャワ条約機構

【シリーズ冷戦】 (7)NATO

【シリーズ冷戦】 (8)鉄のカーテン演説