勉強法 倫理・現社で受験する人は必見!問題で見る青年期の特徴

倫理・現社で受験する人は必見!問題で見る青年期の特徴

こんにちは。塾講師めるです。
今回は「青年期の特徴」について,実際に問題を解きながら解説します!

青年期については,多くの心理学者や哲学者がさまざまな言葉で説明していて,
倫理はもちろん,現代社会の問題でもよく出題されています。
誰がどのような言葉で青年期のどんな特徴を述べたのか,整理していきましょう!

1)問題

青年期の特徴に関する記述として正しいのはどれか。次の①~④からひとつ選びなさい。

① フランスの哲学者ルソーは『社会契約論』で青年期を「第二の誕生」と呼んだ。

② 心理学者レヴィンは青年期を,ドイツの文学から引用して「疾風怒濤」と表現した。

③ エリクソンは青年期を「大人になるための猶予期間」という意味で「モラトリアム」と呼んだ。

④ 大人になることを拒否する若者を小此木啓吾は「パラサイト」と表現した。

 

制限時間は3分です。それではシンキングタイム,スタート!

 

 

 

2)解答・解説

いかがでしたか?それでは答えを見ていきましょう。

正解は③でした!

では,間違っていた選択肢について簡単に解説していきますね。

① フランスの哲学者ルソーは『社会契約論』で青年期を「第二の誕生」と呼んだ。

 →ルソー「第二の誕生」について述べたのは『エミール』です。
  この中でルソーは「我々は二度生まれる。一度目は存在するために,二度目は生きるために」と述べ,
  「青年期=ひとりの人間としての第二の誕生」と表現しました。

  『社会契約論』もルソーの著作ですが,内容が異なります。
  (現代社会ではどちらも聞かれるので特に注意しましょう!)

② 心理学者レヴィンは青年期を,ドイツの文学から引用して「疾風怒濤」と表現した。

 →レヴィンは青年期を「境界人(マージナル=マン)」と表現しました。
  これはもともと移民や少数民族を表す用語です。
  レヴィンは「青年期=大人でも子どもでもない境界の時期」としてこの言葉を転用しました。

  「疾風怒濤」とはもともとドイツで18世紀後半に見られた文学運動で,
  感情的に激しく揺れ動く時期としての青年期を表す言葉でもありますが,レヴィンに特有の用語ではありません。

④ 大人になることを拒否する若者を小此木啓吾は「パラサイト」と表現した。
 
 →小此木啓吾は大人になることを拒否する若者を「モラトリアム人間」と表現しました。
  自己実現のためでなく,消極的な理由からモラトリアム期間にとどまる若者を指す言葉です。
  
  「パラサイト」は「寄生」という意味で「パラサイト・シングル」とも呼ばれます。
  大人になってからも親に依存して生活する若者を指す言葉です。
  このほかに,モラトリアム期間にとどまり続ける若者を表現する言葉としては,  
  大人としての責任を回避する若者の傾向を指す「ピーターパン・シンドローム」があります。

3)まとめ

いかがでしたか?今回のポイントは以下の通りです。

◎青年期の特徴

ルソー  :『エミール』より「第二の誕生」
       →青年期=ひとりの人間として誕生する時期

・レヴィン :「境界人(マージナル=マン)」
       →青年期=大人でも子どもでもない境界の時期

エリクソン「モラトリアム」
       →青年期=大人になるための猶予期間

・その他  :「疾風怒濤」(ドイツの文学運動から)
       →青年期=感情的に激しく揺れ動く時期

◎青年期の若者に見られる最近の傾向

小此木啓吾「モラトリアム人間」
       →大人になることを拒否し,モラトリアムにとどまる若者

・その他  :「パラサイト・シングル」
       →大人になっても親に依存して生活する若者
       「ピーターパン・シンドローム」
       →大人としての責任を回避する若者

基本としておさえておきたいのは,ルソー,エリクソン,レヴィンですね。
特にエリクソンは,アイデンティティーの問題でもよく出題されるので注意しましょう!