勉強法 詳説!!酸化剤、還元剤と半反応式をマスターしよう!

詳説!!酸化剤、還元剤と半反応式をマスターしよう!

 酸化剤と還元剤

今ここで、酸化剤と還元剤という二つの言葉を新たに定義します。

定義といっても、そんなに難しいことではなく、字の通り、他の物質を参加させる物質を酸化剤、他の物質を還元する物質を還元剤と呼ぶことにします。

 さあ復習。

  • 酸化した=電子(e-)を放出した
  • 還元した=電子(e-)を受け取った

というように、酸化と還元を定義できることは習いましたね。

電子(e-)は、いきなり出現したり、勝手に消えたりしませんので、還元剤の酸化の反応と、酸化剤の還元の反応は必ず一緒に起きます。

これをもとに考えると、

物質を酸化剤と反応させると、物質は参加するので電子(e-)を放出する。

放出した電子は酸化剤が受け取ります。

物質を還元剤と反応させると、物質は参加するので電子(e-)を受けとる。

どこからの電子かといえば、還元剤が放出したものです。

つまり、

  • 酸化剤=電子(e-)を受け取る=自身は還元する
  • 還元剤=電子(e-)を放出する=自身は酸化する

ということが言えます。

酸化剤、還元剤という単語には惑わされて逆にしてしまいそうなポイントですので気を付けてください!

 

よく使われる酸化剤・還元剤

化学実験あるいは身近でよく使う酸化剤・還元剤の例を挙げてみましょう

酸化剤

過マンガン酸カリウムKMnO4、二クロム酸カリウムK2Cr2O7、ハロゲン単体Cl2等、次亜塩素酸ナトリウムNaClO、さらし粉CaCl(ClO)・H2O、硝酸、濃硫酸

等が一般的に酸化剤として使用されるものです。

還元剤

シュウ酸C2H2O4、チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3

などが一般的に還元剤として使用されるものです。

酸化剤、還元剤どちらともなりうるもの

二酸化硫黄と過酸化水素は、反応の相手が酸化剤なら自身は還元剤として働き、反応の相手が還元剤なら自身は酸化剤として働き、特別なのでその都度どちらなのかを判断してください。

また、金属の酸化還元反応が頻出ですので、金属単体と酸化剤の反応では、金属単体が還元剤となり、金属イオンと酸化剤では金属イオンが酸化剤となっています。

 

半反応式

これまでの話からも分かる通り、みなさんがお馴染みの化学反応式には、必ず酸化剤の反応と還元剤の反応が同時に一つの式にまとめられています。

この反応の半分だけを書いた式ということで、半反応式というものがあります。

半反応式は、酸化剤あるいは還元剤片方の反応をわかりやすく知るために、それぞれの反応に注目して書く式です。

半反応式には、イオン反応式に似ていますが、イオン反応式で書くことのできるイオンに加え、電子(e-)を書くことができます。

では、実際に半反応式を書く方法を3つの例(銅濃硝酸シュウ酸)を交えて教えていきます。

 

半反応式の書き方

①注目する物質の反応前後の分子式をそれぞれ左辺、右辺に書く。

例)

残念ながら、各物質の反応前後は、覚えるしかないのでがんばって覚えてください。後は順を追って進めれば半反応式は簡単に書けます。

②①で書いた物質の中心元素の個数を左右でそろえる。(中心元素は銅ならCu硝酸は窒素Nシュウ酸は炭素C)

例)

銅と硝酸はこの場合すでにそろっているのでそのままでよい。

③酸素原子の個数をそろえるようにして水分子(H2O)を加える。

例)

銅は両辺に酸素原子がなく個数が0でそろっているのでそのままでよい。

シュウ酸も両辺4でそろっているのでそのままでよい。

④水素原子の個数をそろえるようにして水素イオン(H+)を加える

例)

銅は両辺に水素原子がなく個数が0でそろっているのでそのままでよい。

 

⑤半反応式の左右の電荷(イオンの価数の和)が左右等しくなるように電子(e-)を加えてそろえる

例)

 

 

 

以上で完成です。これらがそれぞれの酸化剤、還元剤の半反応式です。

半反応式は、酸化還元滴定、電池、電気分解のいずれでも必要になってきます。複雑な酸化還元反応の反応式を書くときにも、半反応式を書いてから書くとわかりやすいです。いろいろな酸化剤・還元剤で半反応式を書く練習を積むと良いでしょう。